僕の欲しい君の薬指
抵抗する思考も力もすっかり底をついていた。中へ入る彼の指が次第に増えていき、その度に私の双眸は涙を流した。そんな私の姿を凝視して、彼は無慈悲に美しく笑う。
「月弓ちゃんと一つになりたい」
「駄目だよ」
「やだ。月弓ちゃんは僕だけの物だもん」
「これ以上は本当にやめないと…「あはは、もう可愛い抵抗はやめなよ月弓ちゃん。どうせ僕に愛されるしかないんだから」」
首を横に折り、さらさらと揺れて首の倒れた方へと流れる前髪の奥から覗く目を細めた彼が自らの下着を脱いで、張り詰めた欲情の塊を露出させた。背徳感と罪悪感。そして何より今以上に彼との関係が崩壊する事への恐怖心で息が止まった。
呼吸を失ったのは数秒だったのか、はたまた数十秒だったのかはよく覚えていない。ただ、息が止まった時間は短い様で長かった。
「月弓ちゃんはね、僕の愛に永遠に囚われるの。息絶えるまで永遠に囚われるの。僕から逃げようとしたら、月弓ちゃんが一生立てなくなる様に細くて綺麗な足の指を一本ずつ僕が切り落としてあげるね」
“きっと痛くて泣いちゃうかもしれないけれど、その涙も僕が愛情を込めて舐めてあげるから安心してね”
何を安心すれば良いのだろうか。どうしてこんなにも幸せそうに猟奇的な台詞を放っているのだろうか。私の足の指を口に咥えた彼は、ぐしょぐしょに蜜で濡れてしまっている場所へ、自らの欲望をあてがった。