命令教室
☆☆☆

走り始めてから10分が経過したとき、私の後方で誰かがこける音がして思わず立ち止まっていた。
振り向いて確認すると彩が起き上がろうとしているところだった。


「彩、大丈夫」


後ろから追いついてきて花が彩に手を貸している。


「ごめんね、大丈夫だから」


そういいながらも彩の額には汗が滲んでいてかなりキツそうだ。
怪我が痛み始めているのかもしれない。
彩が立ち上がったのを見届けてから私は再び走り出した。
一旦足を止めてしまったから、走り出す足がとてつもなく重たい。

まるで両足に鉛をくくりつけられているような気分だ。
自分は自分のペースで走らなきゃ。
じゃなきゃ走れなくなっちゃう。
心の中でそう呟いて前方だけを見て足を前に進める。
私の前には修がいて、一定のペースで走ってくれているから本当に助かる。

香が今どこにいるのか気になったけれど、見える範囲にはいなかった。
きっと、後ろからついてきているんだろう。
確認したかったけれど、私にはもう後ろを振り返る余裕はなかったのだった。
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