命令教室
☆☆☆

1度、香の声が聞こえてきた時があった。
後方で「キャッ」と短く悲鳴がして、コケるような音が聞こえてきた。

その音を聞いたときには立ち止まってしまいそうになったけれど、修の背中だけを見つめてどうにか走り続けた。
残り10周まで来て立ち止まるわけにはいかない。
今他のことに気を取られて立ち止まってしまえば、そのから先がすべて水の泡になってしまうかもしれないからだ。
もはや自分が何時間走っているのかわからなくなっていた。

靴ずれが起きてくるぶしから血が出たときは痛みを感じていたけれど、今ではそれも気にならなくなっている。
体のあちこちが痛くて苦しくて、すでに悲鳴を上げている状態だ。
靴ずれの痛みなんて、すぐに忘れてしまった。
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