その涙が、やさしい雨に変わるまで
「黒澤くん、いろいろとこちらへ質問してきては熱心に企画を練っていたのに、しばらくコンタクトがないなと思ったら、それきりです。今日の会議でも、僕の顔をみたら思い出すかなと期待したけど、全然だった」
なんと最後にメールをもらってから帰国するまでのこの一年強、菱刈は瑞樹にほったらかしにされていたという。
「信頼してEUを任せてくれているのは嬉しいのですが、ちょっと放任し過ぎじゃないかなと。あんなにマメだったのに、その姿が嘘みたいに消えて、こちらとしては見捨てられたようでショックですよ。ダメになったのならなったんだと正直にいってくれれば、僕だってそうかと自分で自分を納得させるし、なんといっても時間を無駄にすることはなかった」
年上の出来るエリート社員に愚痴られて、またしても三琴は、別の意味で居たたまれない。
この案件、三琴に無関係であれば、放置されているのは三琴のせいではない。なのに、なぜか自分の不手際を責められているような気分になる。
一方の菱刈はひとしきりいいたいことを吐き出して気が済んだのだろう、大きく深呼吸して、居住まいを正した。
そして、先の剣幕とは打って変わって落ち着いた口調でいう。
「他にもいろいろあるのですが、これについては僕と黒澤くんと松田さんとの間だけのこととして、EUに戻る前に絶対に話さなければと思ったのです」
回り道をして、本題に戻ったのだった。
なんと最後にメールをもらってから帰国するまでのこの一年強、菱刈は瑞樹にほったらかしにされていたという。
「信頼してEUを任せてくれているのは嬉しいのですが、ちょっと放任し過ぎじゃないかなと。あんなにマメだったのに、その姿が嘘みたいに消えて、こちらとしては見捨てられたようでショックですよ。ダメになったのならなったんだと正直にいってくれれば、僕だってそうかと自分で自分を納得させるし、なんといっても時間を無駄にすることはなかった」
年上の出来るエリート社員に愚痴られて、またしても三琴は、別の意味で居たたまれない。
この案件、三琴に無関係であれば、放置されているのは三琴のせいではない。なのに、なぜか自分の不手際を責められているような気分になる。
一方の菱刈はひとしきりいいたいことを吐き出して気が済んだのだろう、大きく深呼吸して、居住まいを正した。
そして、先の剣幕とは打って変わって落ち着いた口調でいう。
「他にもいろいろあるのですが、これについては僕と黒澤くんと松田さんとの間だけのこととして、EUに戻る前に絶対に話さなければと思ったのです」
回り道をして、本題に戻ったのだった。