その涙が、やさしい雨に変わるまで
(ここも、通常なら入ることのない場所かもしれない)
(へー、あんなにたくさん、三角コーンがある)
(あれは、三角コーンの進入禁止のバーかな?)
大規模競技場の備品庫とどこか似た部屋を興味津々で見渡して、三琴は思う。この部屋はずっと閉め切ってあったせいか、そこまで湿っぽくない。
求めていた傘は入り口ドアすぐ近くで見つかった。ゴルフコンペで使われるような大ぶりの真新しい傘を五本、両手に抱えて三琴は備品庫を出た。
傘の一本一本が大きいこともあれば、五本もある。真新しい傘であれば、なんとなく地面につけたくない。備品庫の入り口ドアから湿った空気が漂っていれば、なおさら汚したくない気持ちになる。
三琴は傘を抱きしめたまま一度、外に出た。そして体を使って備品庫の扉を閉め、鍵を元通りにかけようとした。
その三琴の様子があたふたとして、傍からみればとても危なっかしいものだったらしい。こんな声が三琴の耳に入った。
「大変そうだね、松田さん。手伝ってあげよう」
不意の助けの声に、三琴は動きが止まる。
無人だと思っていた車寄せに、人がいた。傘を探している間に、社用車が乗りつけていたのだ。
梅雨の蒸し暑い空気だったために、三琴はまったく人の気配に気がつかなかった。
誰だろう? そう思う間にも視界の隅からスーツの腕が現れて、三琴の手から備品庫の鍵を取り上げた。
「ありがとうございます。助かりました」
預かった鍵を取られるような形となったが、ここにいるのは社の関係者だ。営業課の誰かかなと思い、まずはお礼をと三琴は声のほうへ視線を移した。
そこにいたのは一般社員でなく自社の副社長。たった今、副社長専用車で帰社した瑞樹がいたのだった。
(へー、あんなにたくさん、三角コーンがある)
(あれは、三角コーンの進入禁止のバーかな?)
大規模競技場の備品庫とどこか似た部屋を興味津々で見渡して、三琴は思う。この部屋はずっと閉め切ってあったせいか、そこまで湿っぽくない。
求めていた傘は入り口ドアすぐ近くで見つかった。ゴルフコンペで使われるような大ぶりの真新しい傘を五本、両手に抱えて三琴は備品庫を出た。
傘の一本一本が大きいこともあれば、五本もある。真新しい傘であれば、なんとなく地面につけたくない。備品庫の入り口ドアから湿った空気が漂っていれば、なおさら汚したくない気持ちになる。
三琴は傘を抱きしめたまま一度、外に出た。そして体を使って備品庫の扉を閉め、鍵を元通りにかけようとした。
その三琴の様子があたふたとして、傍からみればとても危なっかしいものだったらしい。こんな声が三琴の耳に入った。
「大変そうだね、松田さん。手伝ってあげよう」
不意の助けの声に、三琴は動きが止まる。
無人だと思っていた車寄せに、人がいた。傘を探している間に、社用車が乗りつけていたのだ。
梅雨の蒸し暑い空気だったために、三琴はまったく人の気配に気がつかなかった。
誰だろう? そう思う間にも視界の隅からスーツの腕が現れて、三琴の手から備品庫の鍵を取り上げた。
「ありがとうございます。助かりました」
預かった鍵を取られるような形となったが、ここにいるのは社の関係者だ。営業課の誰かかなと思い、まずはお礼をと三琴は声のほうへ視線を移した。
そこにいたのは一般社員でなく自社の副社長。たった今、副社長専用車で帰社した瑞樹がいたのだった。