その涙が、やさしい雨に変わるまで
脩也のものと違って、菱刈の封筒にはペーパーしか入っていない。
書式フォームは副社長室前室で目にしていた自社のもの。PCで作成した部分があれば、手書きの部分もある。二種類の筆跡が入り交じり、ひとつは瑞樹のものであった。
ふたり分の筆跡を認めれば、菱刈は直接瑞樹と会話して、その場で書き込んで、ふたりで案を詰めていったのだとわかる。
(瑞樹さんがヨーロッパへ出張したときと、菱刈さんの帰省のときに意見交換したって感じね)
(ご丁寧に、日付もある)
(これならちゃんと時系列で確認できそう。ふたりの几帳面さに感謝かも)
稟議原案を確認したところで三琴がなにかアクションを起こすのかというと、それはない。お願いした本人の菱刈は、もうヨーロッパ事業所へ戻っている。菱刈へ報告する義務はないのだけれど、みてほしいと懇願されて全く手つかずなのも失礼かなと思い、三琴は確認していく。
日付をさかのぼっていけば、この企画は約二年前にスタートしていた。
二年前といえば、瑞樹が副社長に就任して三琴との交際がスタートした時期でもある。
(これって、偶然よね?)
(瑞樹さん、副社長に昇格して担当領域が増えて視点が広くなったから、それで思いついた企画よね)
(実際、副社長の裁量権限があれば、今まで我慢していたことも実行可能になっただろうし)
書式フォームは副社長室前室で目にしていた自社のもの。PCで作成した部分があれば、手書きの部分もある。二種類の筆跡が入り交じり、ひとつは瑞樹のものであった。
ふたり分の筆跡を認めれば、菱刈は直接瑞樹と会話して、その場で書き込んで、ふたりで案を詰めていったのだとわかる。
(瑞樹さんがヨーロッパへ出張したときと、菱刈さんの帰省のときに意見交換したって感じね)
(ご丁寧に、日付もある)
(これならちゃんと時系列で確認できそう。ふたりの几帳面さに感謝かも)
稟議原案を確認したところで三琴がなにかアクションを起こすのかというと、それはない。お願いした本人の菱刈は、もうヨーロッパ事業所へ戻っている。菱刈へ報告する義務はないのだけれど、みてほしいと懇願されて全く手つかずなのも失礼かなと思い、三琴は確認していく。
日付をさかのぼっていけば、この企画は約二年前にスタートしていた。
二年前といえば、瑞樹が副社長に就任して三琴との交際がスタートした時期でもある。
(これって、偶然よね?)
(瑞樹さん、副社長に昇格して担当領域が増えて視点が広くなったから、それで思いついた企画よね)
(実際、副社長の裁量権限があれば、今まで我慢していたことも実行可能になっただろうし)