その涙が、やさしい雨に変わるまで
三琴が入社したとき、瑞樹は部長で小島が常務だった。大きな企業の割には若い部長と常務だなと思った記憶がある。その小島はさっさと社長に就任し、少し遅れて瑞樹が副社長に就任した。
この流れ、小島はひと足先に上の役職に就いて瑞樹のために道を整えておくという感じであった。実際、社員は皆そういうふうにみているし、小島本人も、あくまでも笑いを取るためで深刻ではないのだが、おどけてそういう雰囲気を漂わせたりする。
――黒澤くん、小島社長のことをとても気にしています。ここまで自社を発展させたのは、小島社長の手腕に間違いない。
――自分が社長になることで、規定では社長は会長となって一線を退くことになりますが、これをみてほかの社員はどう思うだろう?
――社長本人もまだまだやりたいことがあるかもしれない、本当にそれでいいのか? なんて、こぼしていました。
次の社長になる瑞樹にすれば、小島社長の手柄を横取りするような感じがしてならないのだろう。いかにも彼らしい。創業家一族ゆえの優越を、瑞樹はどの場面でも常に意識してたから。
社員は「一族の会社」と知ったうえで就職しているから、そんなものだと割り切ったところがある。帰国子女の菱刈にはそれが特異に映っていそうで、瑞樹は客観的な意見を彼に求めていたかもしれない。
(そうなんだよな~、小島社長、よそに比べたら全然若いと思う。引退するには早いわよね~)
この流れ、小島はひと足先に上の役職に就いて瑞樹のために道を整えておくという感じであった。実際、社員は皆そういうふうにみているし、小島本人も、あくまでも笑いを取るためで深刻ではないのだが、おどけてそういう雰囲気を漂わせたりする。
――黒澤くん、小島社長のことをとても気にしています。ここまで自社を発展させたのは、小島社長の手腕に間違いない。
――自分が社長になることで、規定では社長は会長となって一線を退くことになりますが、これをみてほかの社員はどう思うだろう?
――社長本人もまだまだやりたいことがあるかもしれない、本当にそれでいいのか? なんて、こぼしていました。
次の社長になる瑞樹にすれば、小島社長の手柄を横取りするような感じがしてならないのだろう。いかにも彼らしい。創業家一族ゆえの優越を、瑞樹はどの場面でも常に意識してたから。
社員は「一族の会社」と知ったうえで就職しているから、そんなものだと割り切ったところがある。帰国子女の菱刈にはそれが特異に映っていそうで、瑞樹は客観的な意見を彼に求めていたかもしれない。
(そうなんだよな~、小島社長、よそに比べたら全然若いと思う。引退するには早いわよね~)