上司の甘い復讐
だから私は山村君を必死で庇った。
「山村君の仕事は私がフォローします。
だから、山村君の楽しみを奪わないでください」
翔太さんはすごい勢いで私を睨んだ。
甘い言葉が嘘のような、殺意こそ込められた視線だった。
そして、奴はぶっきらぼうに言う。
「勝手にしろ」
翔太さんは書類を手に、オフィスから出て行ってしまった。
そんな彼の後ろ姿を見ながら、
「こっ、怖かったぁ……」
山村君が小動物のように縮こまる。
入って早々翔太さんに怯える山村君が可哀想に思えてしまう。
「大丈夫だよ、山村君。
ハゲ崎は放っておいたらいいから」
「は、はい……」
私は愚かだ。
山村君を気遣うあまり、翔太さんのことを何も考えていなかったのだ。
彼がどんな気持ちで私たちに声をかけたのか、考えることすらしなかったのだ。