上司の甘い復讐



だから私は山村君を必死で庇った。


「山村君の仕事は私がフォローします。

だから、山村君の楽しみを奪わないでください」


翔太さんはすごい勢いで私を睨んだ。

甘い言葉が嘘のような、殺意こそ込められた視線だった。

そして、奴はぶっきらぼうに言う。


「勝手にしろ」


翔太さんは書類を手に、オフィスから出て行ってしまった。

そんな彼の後ろ姿を見ながら、


「こっ、怖かったぁ……」


山村君が小動物のように縮こまる。

入って早々翔太さんに怯える山村君が可哀想に思えてしまう。



「大丈夫だよ、山村君。

ハゲ崎は放っておいたらいいから」


「は、はい……」



私は愚かだ。

山村君を気遣うあまり、翔太さんのことを何も考えていなかったのだ。

彼がどんな気持ちで私たちに声をかけたのか、考えることすらしなかったのだ。


< 104 / 349 >

この作品をシェア

pagetop