上司の甘い復讐




翔太さんが戻ってくると、ざわついた室内が静かになる。

横山さんが笑いながらパソコンに向かい、山村君は口をへの字にして俯く。

なんだか翔太さんが気の毒になって、


「か、川崎さん、おかえりなさい」


声をかけていた。



彼は機嫌悪そうに、私をちらりと見る。

そしてどかっと椅子に腰かけ、パソコンを見てぼやいた。


「どういう風の吹き回しだ。

お前が俺に擦り寄るなんて、悪口でも言っていたんだろう」


思わず


「バレました!?」


声を上げてしまった私を、


「みっ、瑞希ちゃん!!」


横山さんが制する。

だから慌てて口を手で塞いだ。



うわー、この口が滑って余計怒らせてしまったよ。

次はどんな罵声が飛ぶだろうと思ったが、


「翔太!」


私の思考回路は、その甘くて高い声にかきけされた。


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