上司の甘い復讐
翔太さんは口を噤み、一瞬切なげな顔をした。
そして、ゆっくり告げる。
「俺は大倉と……
結婚しようと思っている」
「……え?」
山村君の顔が歪み、私の胸がドキドキ言う。
山村君には申し訳ないが、翔太さんのことを考えてきゅんきゅんが止まらない。
「ま、またまたぁ!
か、川崎さん、妄想酷いんですから!」
混乱しつつも努めて明るく振る舞う山村君に、
「山村、ごめんな。
大倉は渡せない」
頭を下げる翔太さん。
そんな翔太さんを見て、
「かっ、川崎さん!?何言ってるんですか!?
本当なんですか!?
……ね、ねぇ、大倉さん!?」
挙げ句の果てに、私に聞いてくる山村君。
私の天敵川崎さんと付き合っていると知られたら、頭がおかしいのではないかと思われると思っていた。
翔太さんのことをハゲだハゲだと言いすぎて、好きだなんて恥ずかしくて言えなかった。
翔太さんはそんな私の気持ちを分かってくれていたし、山村君の気持ちも理解していた。
だから嫌われていると言われながらも、ずっと我慢してくれたのだろう。