上司の甘い復讐




翔太さんは口を噤み、一瞬切なげな顔をした。  

そして、ゆっくり告げる。


「俺は大倉と……

結婚しようと思っている」


「……え?」


山村君の顔が歪み、私の胸がドキドキ言う。

山村君には申し訳ないが、翔太さんのことを考えてきゅんきゅんが止まらない。



「ま、またまたぁ!

か、川崎さん、妄想酷いんですから!」


混乱しつつも努めて明るく振る舞う山村君に、


「山村、ごめんな。

大倉は渡せない」


頭を下げる翔太さん。

そんな翔太さんを見て、


「かっ、川崎さん!?何言ってるんですか!?

本当なんですか!?

……ね、ねぇ、大倉さん!?」


挙げ句の果てに、私に聞いてくる山村君。




私の天敵川崎さんと付き合っていると知られたら、頭がおかしいのではないかと思われると思っていた。

翔太さんのことをハゲだハゲだと言いすぎて、好きだなんて恥ずかしくて言えなかった。

翔太さんはそんな私の気持ちを分かってくれていたし、山村君の気持ちも理解していた。

だから嫌われていると言われながらも、ずっと我慢してくれたのだろう。


< 325 / 349 >

この作品をシェア

pagetop