念願の婚約破棄された悪役令嬢は、なぜか廃嫡寸前の変人王子に執着される
いや、でも、見た目が違いすぎる。

「どうかしたのか?」

私が不審そうなのに気づいたのか、僅かに彼の首が傾く。
昨日、バサバサだった黒髪はほどよい長さに綺麗に切りそろえられ、櫛も入れられていた。
ヨレヨレだった白衣姿も、なぜか正装になっている。
あと、ダサい丸眼鏡は銀縁スクエアに変わっていた。
服や髪型が整ったから昨日よりよく見えるのはわかるが、もはやこれは別人だ。
はっきりいって国一番のイケメンと名高いオーガスト王子よりも、いい男。
これがコーデリック王子だとして、共通点はひょろりと高い背しかない。

「その、コーデリック王子?
これはいったい……?」

「昨日、シャローラからムサい男はお断りだと言われただろ?
だから身なりを整えたんだ」

にぱっと人懐っこく彼が笑う。
このよい顔面でそのちょっと子供っぽい笑い方は、破壊力が抜群だ。
おかげで、みるみる頬が熱くなっていく。

「シャローラ?」

私の態度がおかしいからか、王子が顔をのぞき込む。

「み、身なりを整えたくらいで、この私があなたごときと結婚するとでも?」

こんないい男、他にはいない。
それでも精一杯強がってみせた。
私は相手がどんなにいい男だろうと、もう恋などしないと決めたのだ。

「これでもダメか?」

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