念願の婚約破棄された悪役令嬢は、なぜか廃嫡寸前の変人王子に執着される
お茶だけでもありがたいのに、傲慢にお菓子を要求する。
それが、シャローラのキャラなのだから仕方ない。

「すまんな、これで我慢してくれ」

しかし王子は腹を立てるどころか苦笑いで、林檎を出してくれた。

「こんなものでこの私が満足するとでもお思いですの?」

出された林檎を邪険に押して遠ざける。

「ああ、すまない。
このままじゃ食えないよな」

笑いながら王子はナイフを取り出し、林檎を剥いて食べやすい大きさに切っていく。

「そういう問題じゃないですわ」

「じゃあ、どういう問題なんだ?」

フォークに刺した林檎を、王子は私の口に押しつけてきた。
口をへの字に曲げて拒否したけれど、懲りずに王子はぐいぐいと押しつけ続ける。
ついに根負けして、口を開いてそれを食べた。

「こんなマズいもの食べさせて、許されるとでも思っていますの?」

嘘だ、本当はみずみずしくて美味しかった。
しかしシャローラはこんな林檎ごときで満足してはいけないのだ。

「はいはい」

呆れている……というよりも諦めているといった感じでコーデリック王子は軽く流し、残りの林檎に噛みついた。
だいたい、誰もがそんなシャローラの態度に苛つくか腹を立てるかなのに、王子の反応はまったく別でどうしていいのかわからない。

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