私、修道女になりたいのですが。。。 ー 悪役令嬢のささやかな野望?
「……わかりました」
グレースの手を強く握ってお願いすると、彼女は不承不承といった様子で折れた。
それから厨房でお菓子作りをした後、キースと馬車に乗って街の外れにある教会へ――。
キースがドレスやお菓子を運ぶのを手伝ってくれて、教会の扉の前で彼に礼を言う。
「ありがとう。すごく助かったわ。もう帰っていいわよ。これ、グレースと作ったお菓子なの。キースも食べて」
布に包んだお菓子をキースに差し出すと、彼が少し戸惑った顔で受け取った。
「ありがとうございます。あの……帰りは?」
「街をぶらぶらしながら帰るから迎えはいいわ」
本当は今日持って来た宝石を売るためだ。無一文では家出できない。
「それはマズいですよ」
キースに反対されたけど、彼の肩をポンポン叩いて自信満々に言った。
「大丈夫。グレースに服を借りたし、公爵令嬢には見えないわよ」
「でも、マリア様……!」
「日が暮れる前には帰るから。ね? ね?」
キースの目をじっと見つめて頼んだら、彼は少し不安げな顔をしつつも教会を後にする。
教会の扉を開けて、牧師さまに寄付を申し出ると、とても喜んでもらえた。
「あの……すみません。友人が神に仕えたくて修道院を探しているのですが、どこかよいところをご存知ないでしょうか?」
さりげなく聞いてみると、牧師様は北の地にある修道院を教えてくれた。
紹介状も書いてくださるということで、今後の足がかりができた。
「あのう、お菓子もお持ちしたんですけど」
隣にある孤児院の子供たちにお菓子を配り、一緒に遊ぶ。
私には九つ下の弟がいたから、子供は大好きで、久々に小さい子たちと触れ合えるのが楽しかった。
屋敷から書き損じた紙を持って来て、子供たちに教えたのは折り紙。紙はこの世界では貴重なのだ。
「さあ、これで飛行機を作りますよ〜」
紙を出して子供たちにレクチャーしようとしたら、早速突っ込みがあった。
「おねえちゃん、ひこうきってなに?」
そうでした。この世界に飛行機はないんだった。
「え~と、鳥を作ります」
飛べば鳥に見えなくもないだろう。
笑顔で言い直して、飛行機を折っていく。
完成した飛行機を飛ばすと、みんなが目を輝かせた。
「わ〜、飛んだ〜! ぼくも作る〜!」
グレースの手を強く握ってお願いすると、彼女は不承不承といった様子で折れた。
それから厨房でお菓子作りをした後、キースと馬車に乗って街の外れにある教会へ――。
キースがドレスやお菓子を運ぶのを手伝ってくれて、教会の扉の前で彼に礼を言う。
「ありがとう。すごく助かったわ。もう帰っていいわよ。これ、グレースと作ったお菓子なの。キースも食べて」
布に包んだお菓子をキースに差し出すと、彼が少し戸惑った顔で受け取った。
「ありがとうございます。あの……帰りは?」
「街をぶらぶらしながら帰るから迎えはいいわ」
本当は今日持って来た宝石を売るためだ。無一文では家出できない。
「それはマズいですよ」
キースに反対されたけど、彼の肩をポンポン叩いて自信満々に言った。
「大丈夫。グレースに服を借りたし、公爵令嬢には見えないわよ」
「でも、マリア様……!」
「日が暮れる前には帰るから。ね? ね?」
キースの目をじっと見つめて頼んだら、彼は少し不安げな顔をしつつも教会を後にする。
教会の扉を開けて、牧師さまに寄付を申し出ると、とても喜んでもらえた。
「あの……すみません。友人が神に仕えたくて修道院を探しているのですが、どこかよいところをご存知ないでしょうか?」
さりげなく聞いてみると、牧師様は北の地にある修道院を教えてくれた。
紹介状も書いてくださるということで、今後の足がかりができた。
「あのう、お菓子もお持ちしたんですけど」
隣にある孤児院の子供たちにお菓子を配り、一緒に遊ぶ。
私には九つ下の弟がいたから、子供は大好きで、久々に小さい子たちと触れ合えるのが楽しかった。
屋敷から書き損じた紙を持って来て、子供たちに教えたのは折り紙。紙はこの世界では貴重なのだ。
「さあ、これで飛行機を作りますよ〜」
紙を出して子供たちにレクチャーしようとしたら、早速突っ込みがあった。
「おねえちゃん、ひこうきってなに?」
そうでした。この世界に飛行機はないんだった。
「え~と、鳥を作ります」
飛べば鳥に見えなくもないだろう。
笑顔で言い直して、飛行機を折っていく。
完成した飛行機を飛ばすと、みんなが目を輝かせた。
「わ〜、飛んだ〜! ぼくも作る〜!」