私、修道女になりたいのですが。。。 ー 悪役令嬢のささやかな野望?
床が迫ってきたけれど、どうにもできない。
ギロチンじゃなくて階段から落ちて死ぬの?
ギュッと目を閉じたら、「マリア!」とアレックス様の声が聞こえた。
それからすぐドンという衝撃音がして、恐る恐る目を開けると、アレックス様に抱きかかえられていた。
「大丈夫か、アリス?」
「……はい。アレックス様は?」
「少し肩を打ったが、問題ない。ルーカス!」
私を抱いたまま起き上がると、アレックス様は階段の上に目を向けた。
そこにはいつの間にかルーカスさまがいて、私を押した男子学生両腕を掴んでいる。
「はいは~い。ちゃんと犯人捕まえてるよ。こっちは俺に任せて、アレックスは肩の手当てをしたら?」
ルーカスさまがそう気遣うけれど、アレックス様は少し顔を顰めているのに、「平気だ」と言い張る。
「ダメです。行きますよ、アレックス様」
強引にアレックス様の手を引いて生徒会室に連れて行く。
部屋には誰もいなかった。
ソファに彼を座らせると、「服を脱いでください」と声をかけた。
「たいしたことない」
従ってくれない彼に、顔を近づけて語気を強めた。
「それは私が見て決めます」
私が引かないのを見て、彼は渋々服を脱ぐ。
「……痣になっていますよ」
アレックス様の肩に大きな紫の痣ができていて、思わず目を細めた。
腫れているし、見るからに痛そう。
アレックス様に怪我までさせてしまった。
「すみません。私のせいです。お……お医者さまを呼んできますね」
彼から離れて生徒会室を出ようとしたら、腕を掴まれた。
「必要ない。こんなの怪我のうちには入らない。俺のことよりお前の方が心配だ。泣いている」
アレックス様は私の目元に触れて涙を拭うと、私をその胸に抱き寄せた。
それで、張り詰めていたものが一気に緩んで、子供のように彼の胸の中で泣いた。
ずっと苦しかった。ずっと怖かった。
だってこの世界は、私が生まれた世界とは別世界。庶民だった私が突然公爵令嬢なんて簡単に受け入れられるわけではない。
ギロチンじゃなくて階段から落ちて死ぬの?
ギュッと目を閉じたら、「マリア!」とアレックス様の声が聞こえた。
それからすぐドンという衝撃音がして、恐る恐る目を開けると、アレックス様に抱きかかえられていた。
「大丈夫か、アリス?」
「……はい。アレックス様は?」
「少し肩を打ったが、問題ない。ルーカス!」
私を抱いたまま起き上がると、アレックス様は階段の上に目を向けた。
そこにはいつの間にかルーカスさまがいて、私を押した男子学生両腕を掴んでいる。
「はいは~い。ちゃんと犯人捕まえてるよ。こっちは俺に任せて、アレックスは肩の手当てをしたら?」
ルーカスさまがそう気遣うけれど、アレックス様は少し顔を顰めているのに、「平気だ」と言い張る。
「ダメです。行きますよ、アレックス様」
強引にアレックス様の手を引いて生徒会室に連れて行く。
部屋には誰もいなかった。
ソファに彼を座らせると、「服を脱いでください」と声をかけた。
「たいしたことない」
従ってくれない彼に、顔を近づけて語気を強めた。
「それは私が見て決めます」
私が引かないのを見て、彼は渋々服を脱ぐ。
「……痣になっていますよ」
アレックス様の肩に大きな紫の痣ができていて、思わず目を細めた。
腫れているし、見るからに痛そう。
アレックス様に怪我までさせてしまった。
「すみません。私のせいです。お……お医者さまを呼んできますね」
彼から離れて生徒会室を出ようとしたら、腕を掴まれた。
「必要ない。こんなの怪我のうちには入らない。俺のことよりお前の方が心配だ。泣いている」
アレックス様は私の目元に触れて涙を拭うと、私をその胸に抱き寄せた。
それで、張り詰めていたものが一気に緩んで、子供のように彼の胸の中で泣いた。
ずっと苦しかった。ずっと怖かった。
だってこの世界は、私が生まれた世界とは別世界。庶民だった私が突然公爵令嬢なんて簡単に受け入れられるわけではない。