私、修道女になりたいのですが。。。 ー 悪役令嬢のささやかな野望?
でも、今の私にはアレックス様がいる。
「だったら今夜はずっと一緒にいた方がいいだろうな。危険なことがいっぱいあったから」
 アレックス様がフッと喉の奥で笑ったかと思ったら、抱き上げられてそのまま彼のベッドに運ばれた。
「え? アレックス様?」
 その行動に驚いていたら、彼もベッドに入ってきて……。
「さあ寝ようか?」
「ちょ……ちょっと待ってください。アレックス様、床入りはまだ早いですよ」
 あたふたして必死にアレックス様を止めたら、クスッと笑われた。
「期待しているところ悪いが、ただ添い寝するだけだ」
「き、期待なんてしてませんよ」
 自分の勘違いが恥ずかしくて顔が火照る。なのに、彼は真顔で私を弄るのだ。
「マリア、顔が真っ赤だ」
「あ~、言わないでください」
 両手で顔を覆って隠すが、彼に腕を掴まれた。
「それは無理な話だな」
 私と目を合わせて楽しげに笑う彼をじっとりと見る。
「嬉しそうにからかわないでください」
「マリア、興奮しすぎだ。さあ、もう寝ろ」
 アレックス様に言われて横になると、彼が毛布をかけてきた。
「明日起きたら、指輪を返しますね。おやすみなさい」
 その約束が私をこの世界に繋ぎ止める。
 もう目を閉じても怖くない。
「おやすみ」
 アレックス様が私の唇にキスをすると、すぐに眠りに落ちた。

 次の朝目覚めると、隣にアレックス様が寝ていて安堵すると共に胸がドキッとした。
 眠っているアレックス様も素敵。前回同衾した時は、ただただ動揺してしまったけれど、今日はまじまじと見てしまう。
 端正な顔立ちがより際立って、本物の王子さまなんだって実感する。
 うっとりしながらその寝顔を眺めていたら、彼がパチッと目を開けた。
「おはよう」
 優しく笑って挨拶すると、アレックス様は私にそっとキスをする。
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