別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
 仕事の話でないのなら、と和輝も口調を父親に対するものへと切り替える。

 貴久は「僕が君に仕事を振るのは今始まった事じゃないがな」と苦笑している。

 忙しいのは事実だが、未来がマンションにいるのに彼女が居ない実家に戻る気などならない。

「あまりへそを曲げてしまう前に帰ってやってくれ。それに未来ちゃんも来ていない。あの子もそんなに忙しいのか?」

「国内営業も最近売り上げが好調だから事務処理が追い付かないのかもしれないですね」

 彼女の仕事はそれなりに忙しいが、時間が作れないわけではない。そのことを知っていながら和輝はうそぶいた。

(未来は今の状況を祖母さんや親父に知られるのをやけに避けようとしているから、顔を出しずらいんだろうな)

「そうか。残業ばかりだと心配になるな。なんせ独り暮らしだろう。職場がブラックなんじゃないか」

「その会社のトップが言いますか。大丈夫です。彼女の就業環境に問題ないことは常にチェックしてますから」
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