別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
 心配し始める父に和輝は呆れる。
 未来が20歳を過ぎてすぐ家を出てからも父は未来を常に気にかけている。
 彼女から猪瀬とのつながりを伏せてほしいと言われている手前、贔屓するわけにもいかないが、心配でしょうがないのだ。

(……未来、君はわかってない。猪瀬(うち)の人間がどれだけ君を大切に思っているか)
 
 そして誰よりも俺が君を求めていることを。


 未来は妹で守るべき存在。余計な感情を持っていないつもりだった。

 それに不純物が混じっていることに気づいたのは些細なきっかけだった。

 未来が高校の卒業式を終えた日の夜、猪瀬家の広いリビングにふたり並び座りながらスマートフォンを手にした彼女に写真を見せてもらった時のことだった。

 制服の胸に花を付けた未来。交友関係が広く、チアリーディング部だった彼女は教室や中庭、校門などで様々な友達と多くの写真におさまっていた。

 微笑ましく見ていた和輝は、やけに特定の男子生徒が未来と一緒に写真に写りこんでいることに気が付いた。
 男性離れした線の細さを持つ美少年だ。

 どの写真も距離が近い。まるで女友達のように肩を寄せているものもある。

『……彼とは仲がいいのか?』
< 126 / 230 >

この作品をシェア

pagetop