別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
 指さしながらさりげなく尋ねると未来は『うん、一番の友達なんだ』と屈託なく笑った。

『彼、手先も器用だしセンスが良くてね。美容系の専門学校に進むんだよ』という未来の話に相槌をうちながら、和輝は『実は彼氏なの』と言われなかったことに安堵している自分に気づいた。

(未来はかわいいし、性格もいいんだから、いつ恋人ができてもおかしくない。いままでいなかったのがおかしいくらいだ)

 そう考えながら、改めて未来が“友達”と映る写真を見ると、胸がチリっと焦げるような痛みを感じた。

 画像を見せようと和輝の隣に寄り添い座る未来の体温と柔らかさをほのかに感じる。

 横顔を盗み見ると、長いまつ毛を伏せてスマートフォンに視線を落とす彼女は少女ではなくひとりの女性に見えた。

 一度気づいてしまうと不純な気持ちは瞬く間に存在を主張し始める。

 制服を脱いで大学に通い始めた未来がやけにまぶしく映るようになった。
 学校の様子を聞くたび、男の影がないか探ってしまう。なにより笑顔を見るたびその頬に触れて、そのまま華奢な体を抱きしめたい衝動を覚える。

 和輝は認めざるを得なくなった。自分は男として未来を愛していると。
< 127 / 230 >

この作品をシェア

pagetop