別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
 赤信号で止まっている間、思わず目で彼らの様子を追っていると、未来の頬を指で男が触り揶揄うように顔を近づけて笑っている。何を話しているかはわからないが、未来は頬を染め恥ずかしそうな顔をしている。

(高校から仲の良かった友達と付き合い始めるのはない話じゃない……良かったじゃないか。未来も楽しそうだ)

 赤信号が青に変わり走り出したタクシーの中で、和輝は未来の幸せのために、自分の手の届かない存在になることを受け入れようと言い聞かせていた。

 しかし、その後の誕生日に未来にそれとなく恋人の存在を確認しても『』と否定される。

  “兄”のような存在の和輝には言い出しにくいのかもしれないと『これからは相手が出来たら気にせず報告しろよ』というと未来は苦笑しつつ『うん、わかった。できたらまず和くんに言うから』と笑っていた。

(あの男は、友達だったのか。良かった、と思ってしまうのは未来への気持がまだ残ってしまっているからだ)

 そうこうしているうちに突然未来が猪瀬家から出て独り暮らしをすることになった。本人の強い意志だ。
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