別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
 無理強いはしないし時間がかかっても構わない。少しずつ自分を意識してもらいたい。
 その先で彼女が受け入れてくれるのならいつかは生涯のパートナーになってほしい。

 だからやたらと結婚をせっつくようになった祖母に、相手は未来とは言わずに『いつかは結婚するつもりだ』と伝えたのだ。
 
 今のところ祖母から見合いの話はされていない。代わりに未来に教わったアプリを使ってメッセージが届いたのは未来の誕生日の少し前のことだった。

 “好き” “片思” “学生のとき”
 
 単語の羅列に祖母が昔の自分の恋愛話でも送ってきたのかと呆れていると、その後に“未来ちゃん”と続いたものだから和輝のスマートフォンを持つ手が固まった。

 その場で祖母に電話をすると『あらあら、ごめんなさいね。練習であなたにメッセージ送っててまだ途中だったの。慣れなくてうまくボタンが打てなくてね』とのんびりとした口調で謝ったあと『未来ちゃん、学生の時から片思いしている人がいるんですって。一途よねぇ』と楽しそうに話していた。

 仕事中の孫相手に練習しないでほしいと思いつつ、未来が想いを寄せる男がいるという事実は和輝にとって重いものだった。
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