別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
 衝動的に奪った未来の唇。その甘さと柔らかさに一度触れたら止まれなくなった。
 和輝はホテルのスイートルームに彼女を誘った。自分でも驚くくらいの手際の良さだった。

 ベッドで組み敷いた未来が躊躇しているのは分かっていた。
 華奢な肩とはだけた白い胸元を見下ろしつつ、焼き切れる寸前の理性で最後の“覚悟”を尋ねた。どうか拒ばないでくれと心の中で願いながら。

『和くんが嫌じゃなかったら……もらってください』

 未来はまっすぐに自分を見て言った。そして健気にその身を預けてくれた。

――かわいい、愛しい、愛している。もう、俺のものだ。
 くらくらしそうなほど強い想いに酩酊しながら、何度も唇を合わせ彼女の甘い肌に溺れた。

 しかし、翌朝、隣で眠る彼女の小さな背中を見て和輝は我に返った。

 抱いたこと自体は後悔していない。しかし、未来の失恋に付けこみ衝動的進めてしまった事実は変わらない。
 彼女の初めてはもっと幸せな気持ちで迎えさせてやるべきだった。だから声に出していた。

『――すまなかった』

 彼女が起きたら、ちゃんと話をしようと思った。
 こんな形になったが改めて自分と新しい関係を築かないかと。しかし。
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