さよならの夜に初めてを捧げたら御曹司の深愛に囚われました
6.想いは沈めて
 金曜の夜、和輝は会食だったため、未来は先輩の桜衣と食事をしてから帰宅した。

「“無事につきました”っと」

 ダイニングの椅子にバッグを置き、帰宅したことを伝えるメッセージを和輝に送ると、すぐに“了解、俺も家に向かっているところ”と返事が来る。

 未来が和輝とこのマンションで暮らし始めてからすでに1ヶ月が過ぎた。こういういうやりとりも当たり前になっている。
 彼との生活は相変わらずだ。平日はお互い仕事に励み、週末はふたりで過ごす。未来が暮らし始めてから和輝と別々の休日を過ごしたことはない。

 未来の好みを把握している和輝は、連れ出す場所のチョイスもさすがだ。明日もドライブがてら江の島にある水族館に行くことになっている。

(私が小さいころから海や水族館が好きだからだよね。和くん、最初無理しているんじゃないかと思うくらい優しかったけど、いまだに変わらないし、むしろ糖度は上がっている気がする)

 和輝と共に暮らす毎日はドキドキするのに、優しく守られている安心感がある。
 なんとか抗おうとしているものの、大人の彼の余裕に太刀打ちできないことを日がたつほどに実感している。
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