さよならの夜に初めてを捧げたら御曹司の深愛に囚われました
7.彼の望む女性
 それから約2週間後、水曜のことである。

「未来ちゃんごめん、今品番送ったけど15脚納期確認してもらっていい? 1ヶ月以内ならとりあえず在庫押えてえてほしい」

「桜衣さん、了解です、あ、これ最近人気だからどうだろ……よし、大丈夫そうなのですぐに仮発注かけますね」

「ありがとう、助かる。詳細確認して正式に見積依頼するね」

「待ってまーす」

 いつも通り仕事に精を出す午後、未来は向かいのデスクに座る桜衣の依頼に対応し、発注システムで素早く入力処理し終えた。

「それにしても、今日の桜衣さんなんかいつもに増して生き生きしてますね」
 
 いつも溌溂と働いている桜衣だが、今日は朝から表情が明るい気がする。

「えっ」
 
 桜衣は驚いた顔になる。

「もしかして、結城さん帰ってくるんですか?」

「……未来ちゃんて変なところで鋭いわね」

 聞くと桜衣の婚約者である海外営業部の結城部長が約3か月ぶりに今夜の便でオランダから帰国するらしい。

「今日は空港まで迎えに行こうと思っているの。彼も疲れてるだろうし車の方が楽でしょ……て、なんで拝まれてるの?」
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