雪降る夜はあなたに会いたい 【下】

一件目は、栗林専務の奥様からだった。

(気付いたらいらっしゃらなくて、ご挨拶が出来なかったのでお電話いたしました。今日は、来てくださってありがとうございます。とても助かりました。では、また)

薄暗い部屋で聞く栗林専務の奥様の声は、私の胸を重く締め上げる。

 参加して分かった。あの会は、誰か一人が出席しなかったからと言って困るようなものではなかった。おそらく本当に困っていたわけじゃない。

 私をあの場に呼び出すこと。それが目的だ。凛子さんがいらっしゃることも分かった上で、それで私を――。

困っている奥様を助ければ今後プラスになるかもしれないなんて、打算的なことを考えた(ばち)があたったのかもしれない。

 その場にしゃがみ込み、そして思わず胸を押さえた。昨日からずっと、胸のあたりが苦しい。

――二件目を再生します。

機械音が響く。

(雪野、いないのか? スマホに電話しても繋がらないから、家の電話にかけてみた。心配だから、家に戻ったら電話をくれ。何時でも構わない)

創介さんからだった。昨日、あのまま寝てしまったから、スマホにも家の電話にさえ気付けなかった。

――三件目を再生します。

(雪野、電話、待ってる)

――四件目を再生します。

(雪野、もう寝たのか? 何かあったんじゃないかと心配してる。この電話に気付いたら何時でもいいから電話をくれ)

――午前一時五十三分。

その声に焦りのようなものが色濃く滲んでいた。

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