雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「……あなただって、辛かったでしょう? 慣れない場所で、見知らぬ人たちの前で、あんな目に遭わされて。可哀想に」
溜息を吐くように叔母様がそう言った。
「い、いえ……」
「辛くて当然よ。雪野さんは、これまでこんな世界とは無縁の生活をしていた。それに、あなたはまだほんの二十四歳の若い普通のお嬢さんよ。ここ最近、精神的に苦しかったんじゃない?」
労わるようなものに変わった声が、余計に私の胸を苦しくする。強く握り締めていた手の甲が白くなる。
辛かった。苦しかった。でも――。
「これから先も、こういうことは多々ある。本当なら経験しなくてもいいはずの嫌なことを経験していかなければならない。それは、あなたの人生にとって本当にいいことかしら」
その言葉に息を飲む。私は咄嗟に声を上げていた。
「私は大丈夫です。そういこともあるって、覚悟を決めて結婚しました。まだまだ至らないところばかりで、ご迷惑をおかけして申し訳ないって思ってます。でも、これからもっと頑張りますから――」
「雪野さん」
必死になって言葉を繋げる私を、諭すように叔母様が私の名前を呼んだ。
「辛いのはあなただけじゃない。きっと、創介も、これから苦しむんじゃないかしら」
「……え?」
私を見る叔母様の目は、とこか哀しそうだった。