雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「もっと抵抗しろよ。抵抗して、理人にではなく、俺に『辛かった』って言ってくれ。全部ぶちまけてくれ。俺にだけは、おまえの全部を見せてくれ。そうじゃないと、俺は――」
苦しそうにそう言うと、私を抱き上げた。あんなに乱暴に触れていたのに、嘘みたいに優しく抱きしめる。寝室のベッドに、私の身体を横たえるとすぐに創介さんが覆いかぶさって来た。
「俺の知らないところで、雪野が辛い目に遭って、苦しんで、」
何の抵抗もしない私の身体を創介さんが抱こうとしているのに、その行為はまるで創介さんが私にすがりついているみたいだった。
「それで、おまえが疲れ果てて――」
切羽詰まったように私の身体をまさぐる、その性急さが切なくて。私の目からはとめどなく涙があふれる。
「いつか、俺の元から去って行ったら――そう思うと、怖くて仕方なくて、」
いつもは優しく包み込むようなその腕が、今は、ただ私を離さまいとそれだけのために力が込められて。軋むように身体が痛い。
心までもが締め付けられて、痛くてたまらない。
「――苦しいんだ」
創介さんから吐き出されたその声が、私の胸に毒矢のように突き刺さり、痛みが広がって行く。
――創介も苦しいんじゃないかしら。
私が苦しめている。
寝室に満ちる薄闇が、私の心を締め付けて行く。
「……雪野」
会いたかった。
早く、その腕で抱きしめてほしかった。ただ、それだけで良かったのに。
どうして、こうなっちゃったんだろう――。
「雪野……っ」
創介さんの手のひらが何度も私の頬に触れ、止まらない涙を拭う。その指先があまりに優しいから、余計に涙が止まらない。
「おまえが苦しいと、俺も苦しい」
涙を拭いながら、創介さんが辛そうにそう言う。