雪降る夜はあなたに会いたい 【下】


 リビングのスタンドライトだけをつけ、ソファに座り込んだ。腰掛けた瞬間にどっと疲れを感じ、そして張り詰めていた緊張が解けた。背もたれに身体を預けて、目を閉じる。

本当に良かった――。

もうずっと、雪野の涙なんて見たことがなかった。いつも笑顔を見せてくれていた。雪野の心の底からの笑顔を見たい。

そのために、出来る事は――。

「――創介さん、お風呂出ました」

雪野の声が聞こえて目を開ける。自分たちの部屋に戻って来て、冷え切った身体を温めさせるためすぐに風呂に入らせた。部屋着に着替えた雪野が、リビングの扉のところで立ったままでいる。どこか遠慮がちで、こちらへ来ようとしない。

「雪野、おいで」

間接照明だけの温かな明かりが、雪野の不安げな表情を包み込む。

 雪野が緊張気味に俺の方へと向かって来る。手を伸ばせば届く場所まで来たところで、その腕を引いた。

「……あ、あのっ。創介さんもお風呂――」
「ああ。でも、少しこうしてから」

引き寄せた身体を俺の腕で囲い込んだ。雪野は、身体を丸ませて腕の中でじっとしていた。小さくなった雪野の身体を、俺の身体全部で包み込む。匂いも肌の温もりも、その全部を感じたい。

「なんだか、雛鳥になったみたい」

雪野が囁いた。

「……ほんとだな」

そう言って小さく笑い合うけれど、すぐにそれも消える。二人の間に横たわる哀しみを、一つ一つ取り除かなければ心から笑えない。

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