雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「自分の弱さを認められる人間は、決して弱くなんかない。
俺たちはまだ新米夫婦だ。おまえだけじゃない、俺も未熟だった。でも、最初から何でも上手く行くとは思ってない。失敗しながら、これから一緒に成長していくんだ。何があっても二人で生きて行く。それ以外の選択肢なんかないんだから――」
その両頬をがっしりと挟み、雪野に告げた。
「離婚なんかしない」
「創介さん……」
驚いた雪野に、頷いてみせる。
「この先もいろんなことを言う奴がいるだろう。でも、他人の言葉に惑わされるな。おまえが一番に信じるべき人間は、俺だ」
強い眼差しで雪野の目を見る。
「雪野には悪いが、おまえを俺から解放してやる気はない」
強く見つめた雪野の目から涙が溢れ出す。
「こんなに辛い目に遭わせてもだ。だから、もう諦めて、余計なことを考えるな。何かあれば俺を利用するくらいの気持ちでいろ。いいな?」
理人は雪野を解放しろと言った。
そんなこと出来るはずもない。自分勝手だろうが鬼だと言われようが、手放すことはできない。
その代わりに、俺には考えなければならないことがある。
雪野のために出来ることを――。
「もう、今日はゆっくり寝ろ。おまえが眠るまで傍にいる」
雪野を抱き上げ、寝室へと運ぶ。
「今日は、ゆっくり寝られそうか?」
「……ん。創介さん、ありがとう」
ベッドに横たえた雪野の額に手のひらをあてて前髪をかき上げる。
本当に、疲れた顔をして……。
一人で、毎夜毎夜、思い悩んでいたんだろう。雪野が、安心したように目を閉じた。
「今日は、傷付いていたおまえを余計に傷付けるようなことをして、悪かった」
その瞼にそっと唇を落とす。