雪降る夜はあなたに会いたい 【下】



 * *



――その週の金曜日。

 夕飯を外で食べようと雪野を誘い、六本木で落ち合った。ここには、丸菱グループの本社がある。以前はよく来ていた場所だ。

 この日、雪野と二人で行きたい場所がある。


「夕飯って、ここですか……?」

六本木駅から連れて来た店の前で、雪野が驚いたように声をあげた。

「そうだ。まあ、夕飯というより、”飲み”だな」

店の軒先に出ている看板と俺の顔を交互に見ながら、心底びっくりしたような表情をする雪野につい笑ってしまう。

「創介さんも、こいういうお店、来るんですか?」
「あたりまえだろ。居酒屋にだって来ることはある。以前、平社員だった頃は社の人間との飲み会はこいういうところが多かった。まあ、とにかく入ろう」

雪野の背中に手を添えて、引き戸の玄関を開けた。

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