雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「俺は俺の責務を全うする。もちろん、社長になるべく全力を尽くす。誰にも何も言わせないくらい、この丸菱を必ずもっと大きくする。おまえは、必ずそう出来ると俺を信じていろ。俺のことが信じられるか?」
雪野の揺れる目に涙が浮かび始める。
そして、何度も頷いた。
「俺は、雪野と二人でそこに辿りつきたいんだ。雪野と共に目指すからこそ意味がある」
涙を堪えるその頬に触れる。
「それでも、もし、そこにたどり着けなかったとしても。その時隣に雪野がいて、”しょうがない人ね”って笑ってくれれば、俺はそれでいいんだ」
目の前にいる愛おしい人を、ただ幸せにしたい。それだけだ。
「それとも雪野は、社長になれない俺なんかいらないか?」
「まさかっ! そんなこと、私には何の関係もありません。私はただ、創介さんがいいんだから」
ただ不安げに揺れていた雪野の瞳が、強いものに変わった。そんな雪野に、ふっと表情が緩む。
「――俺も、同じだよ」
そう言った俺に、雪野が涙の粒を零しながら、顔をくしゃくしゃにして笑った。
「この先もずっと、俺の隣にいて、俺のことを見ていてくれるか?」
俺の手のひらで挟まれた雪野の顔を覗き込む。
「はい」
雪野の涙でいっぱいの笑顔が、俺の胸を切なく刺激して。
誰もいない夜景だけに包まれた空間で、この世界にただ二人だけしかいないみたいで。
そのまま雪野に唇を重ねた。