雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「そ、創介さんっ、ここ、誰か来たら――んっ」
唇を離すとすぐに雪野が慌てたように俺の胸を押すから、身体ごと引き寄せ再び唇を塞ぐ。
「んんん――っ」
キスをしているというのに目を閉じようとしない雪野に、仕方がないのでほんの僅かだけ唇を離して、触れるか触れないかの距離で囁いた。
「もし誰かが来ても、こんなところを目にしたら気まずくなって立ち去るだろう? どのみち、好都合だ」
「そ、そんな――」
周りのことなんてどうでもいいと思わせるほどに、蕩けさせたい。そんな愚かな欲望が湧き上る。
ただ唇を重ねるだけだったキスを激しいものに変える。腰を強く引き寄せ、その可愛い唇を食べ尽すみたいなキスをする。雪野の唇は、熱くて甘い。
その感触も、温かさも、もうすべて知り尽くしている。その唇の奥にある、柔らかなものと、早く触れ合いたい。
俺の腕の中で慌てる雪野を抑え込むように強く抱き、唇をこじ開け絡め取る。
最初は躊躇いがちだったそれは、すぐに従順になり、抱き締めていた雪野の身体から力が抜けて行く。それと同時に、離れようと俺の胸を押していたはずの雪野の手は、俺のジャケットを強く握り締めていた。
深く舌を絡めるキスは、それだけで身体全体に快感を行き渡らせて。キスの先にある行為を呼び起こす。
「そ、そうすけさ――」
「ん?」
唇の角度を変える度に、雪野が声を漏らす。それに、一応耳を傾ける素振りはしても、またすぐに唇を塞ぐ。
雪野の身体が熱くなって、その熱で身体を溶かしてしまいそうになる。
さすがに、こんな場所でこの先のことをするわけにもいかない――。
なけなしの理性で自分を抑えようとするけれど、そんな理性も手放したいともう一人の自分が暴れ出してしまいそうで。
そんな愚かな葛藤に苛まれていると、雪野が恐ろしいほどに艶めかしい表情で、呼吸を乱しながら言葉を漏らした。
「そうすけ、さん――もう、帰りたい」
「それは――」
まさか――。
雪野の方から、誘っている――そう解釈してもいい……のか?
ようやく離れたお互いの顔。
雪野が肩を上下させながら、俯いている。でも、その顔が酷く赤くなっているのは、この夜景の明かりだけの状況でも分かる。
俺の腕を掴んでいる雪野の手のひらに、さらに力が込められる。