雪降る夜はあなたに会いたい 【下】

 そして、掠れてしまいそうな声で雪野が言った。

「早く、したい……の。創介さんに、触れたい……」

バカみたいに呆気に取られて何も言葉を返せずにいた。

「……創介さんは、本当に、意地悪です。私を、こんな風にして、言わせる、なんて――っ」

意地悪はどっちだ。そんな、クソ可愛い姿を見せやがって――。

俺は、ここから家まで、耐えなければならないと言うのに。

「おまえは、本当に……。俺をどうするつもりだ」
「どうするって――私の方が、創介さんに……どうにか、されてる」
「実は、ほろ酔いどころじゃないな……?」

雪野がそんなことを言うなんて、そうに決まっている。

「分からない。でも、一刻も早く、触れられたい。創介さんに、触れたいの――」
「もう、分かった!」

衝動と欲望を無理やりに押し止め、雪野の腕を掴む。

 こっちだって、一刻も早く本当に二人しかいないところに駆け込んで、雪野が欲しい。

 俺から欲望と執念の気でも発していたのか、金曜の夜にも関わらず、すぐにタクシーを捕まえることが出来た。

 後部座席で、お互い何も言葉は交わさない。俺はただじっと窓の外を見て、雪野も同じように窓の外を見ていた。
 でも、握り合わせた手のひらだけは、酷く熱くて。繋がった部分を、意識せざるを得ない。逸る気持ちを抑え込む。

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