雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「愛してるよ。雪野を一生手元に置いておくためなら、鬼にだってなる」
一生、離さない。
雪野が身体をびくつかせて、俺の頭にしがみつく。
乱れて正気を失くして。掠れた吐息を漏らしながら、雪野が言った。
「離さないで。創介さんになら、囚われても縛られても、構わない」
熱に浮かされたような、心の奥底の本能から繰り出されたような雪野の声。
「好き。壊されてもいいくらい、愛してる――」
雪野の身体を抱き寄せ、衝動的に唇を塞ぐ。
白い裸体を抱きしめながら、もうはちきれそうな俺自身を雪野に押し付けた。
「もう、絶対、創介さんから、離れたり、しない――っ」
雪野がいなくなる――。
もう、あんな恐怖は味わいたくない。
どうしたら、縛り付けておけるのか。
どうしたら、俺から逃げられなくすることが出来るのか。
身体なんかで繋ぎ止めておけるなんて、本当は思っていない。
それでも、なんでもいいから。
雪野にずっと傍にいてもらいたい。
それはまるで、子供が駄々をこねるような願いなのかもしれない。その願いの儚さに胸が苦しくなる。
「雪野……っ」
雪野の中に入ると、泣きたくなるほどに温かかった。
「あ……っ、そうすけ、さんっ」
テーブルが軋む音と、雪野の零す声。
「雪野――」
みっともないほどに乱れた吐息が漏れてしまう。
心も身体も締め付けられて、たまらなくて。雪野を強く抱きしめて、身体全部で繋がる。
ぴたりと密着した肌と肌の温もりに、心から満たされた。
結局、どれだけ儚さと切なさを感じても、雪野の肌の温もりに触れれば、甘く温かい感情が込み上げる。
どうしようもないほど、愛してる――。
本当に、どうしようもない。
雪野を前にすると、本当の自分がどんなだったか分からなくなる。制御も抑制も上手くできなくなって、ろくでもない男に成り下がる。
本当に、いつか壊してしまうんじゃないかと、心配になる。
それでもやはり、雪野のことが大切過ぎて。壊すことなんて出来ないんだろう。
その夜、雪野の声が枯れるまで抱き続けた。