雪降る夜はあなたに会いたい 【下】


「――見せたいよ。世界中の人に分からせたい」

俺がどれだけ雪野に溺れているのか。
この愛が、どれだけ重くて狂気をはらんでいるのか。

それを知れば、尋常じゃない想いに恐怖すら感じるだろう。

そうしたらきっと、誰も雪野のことを傷付けようとは思わないかもしれない。

「あ……っ」

柔らかな雪野の肌を味わうように舐める。

「おまえを見下す奴ら全員に、見せてやりたい――」

俺にとって、自分の命より大切なかけがえのない人で。どれだけ特別な存在なのか――。

どいつもこいつも、知ればいい。


 翌朝、出社する支度を終えてから、ベッドの淵に腰掛けた。
 ひそやかな寝息を立てながら眠る雪野の頬に、そっと触れる。その寝顔を見て、少し罪悪感が湧く。

ごめんな――。

あどけない寝顔が、余計に俺を責めたてる。

「……ん」

少し触れるだけのつもりが、つい長く触れてしまった。雪野の瞼がゆっくりと開き、俺を見上げる。

「あれ……。創介さん」
「悪い、起こしたか」

雪野の額に手のひらを当てて微笑みかける。

「え……っ。え? 今日、お仕事ですか?」

意識がはっきりしたのか、雪野が慌てて身体を起こした。

「ああ。今日、出張メンバーが帰国するから社で報告を受けて来る。おまえは、もう少し寝てろ」
「ごめんなさい。朝ご飯も準備しないで――」
「いいよ。昨晩は嫌って程疲れさせたからな」

そう言って頬に口付けると、雪野が顔を真っ赤にした。

「夕方までには帰って来られると思う。今日は一日、ゆっくりしていろ」
「ありがとうございます。ご飯、作って待ってます」
「ああ」

雪野が申し訳なさそうに微笑むから、もう一度、今度は唇にそっと唇を重ねる。

 寝ていていいと言ったのに、雪野は玄関先まで出て来て送り出してくれた。

「じゃあ、行って来る」
「いってらっしゃい」

今度は、はにかむような笑顔で小さく手を振る。

 一つ一つ、俺には解決していかなければならないことがある。

< 166 / 380 >

この作品をシェア

pagetop