雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「俺は結婚してるんだぞ? どうしてそんな話が出来る? 俺はこの先も離婚するつもりはない」
「創介!」
叔母が叫ぶように俺の名前を呼んだ。
「あなたのお父様が、あんな人と再婚してしまった。だからこそ、創介にはきちんとした家の人と結婚してもらいたかったのよ。父親も息子もだなんて、恥ずかしいったらない。あなたのおばあ様もおじい様も、どれだけ落胆しているのか知ってるの?」
祖母も祖父も、俺の結婚に対して特に意見はしなかった。
それに、叔母だって。最初に雪野を紹介した時、俺に何も言って来なかった。
叔母は、納得したのではなかったのだ。俺の強い意思に、一度は仕方なく折れた。そんなところなのだろう。
「創介には絶対に丸菱のトップに立ってもらいたいのよ!」
悲壮感に満ちた表情は、それはそれで叔母の思いなのだろう。でも、そんなもの、俺には一切関係ない。
「お父さんだって。叔母さんのいう”あんな人”と再婚しても、社長になっているだろう? お父さんに出来たことが俺には出来ないとでも?」
「あなたのお父さんの場合は、再婚した時にはもう幹部だった。創介とは違うのよ」
「なら、お父さんより困難なことをやり遂げてみせるだけのことだ」
「そんなに甘くないのよ。あなたのお父様だって、きっと悔しいはず――」
叔母の感情的な言葉に、俺は溜息を吐き、冷めた声を放った。