雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
試着室と言うには広すぎる部屋には、ソファもある。鏡も普通の試着室に置いてあるものより一回りは大きい。
私を上から下まで見定めるように見つめてから、店員さんがすぐに四、五着のドレス選びハンガーにかけた。
「奥様は、お優しい顔立ちでいらっしゃいますから、淡い色がお似合いになるかもしれませんね」
そう私に微笑みかけて、薄いピンクのロングドレスを当ててくれた。
「こんなドレス、着たことありません……」
ハンガーにかかるドレスはどれも脚がすべて隠れるロングタイプだ。
「ドレスコードが”ブラックタイ”ですからね。女性はロングドレスかお着物の着用になるんですよ」
私にそんな服が着こなせるのか心底不安になるけれど、これからのことを考えればそんなことも言っていられない。心を決めて、ドレスと向き合った。
ドレスを着終えると、店員さんがぱあっと笑顔になった。
「素敵ですよ。柔らかな雰囲気が奥様にお似合いです」
「そうですか……?」
鏡の前で、桜の花びらのような薄い桃色のシフォン生地を重ねたロングドレスを着て立つ。おどおどとした表情はどうしても消し去れない。
「では、榊様のところに参りましょうか」
「そ、そうですね」
緊張のまま創介さんの前へと出て行った。
「榊様、奥様の柔らかな雰囲気に合わせて選んでみましたが、いかがでしょう?」
「創介さん、どうかな。ちゃんと似合ってる?」
脚を組んでソファに腰掛けていた創介さんが、私を真剣なまなざしでじっと見つめる。