雪降る夜はあなたに会いたい 【下】

「――もちろん、似合ってはいる」

創介さんが眉間に皺を寄せて立ち上がり、私の真正面に立つ。そして何かを考えるように黙っていたと思ったら、店員さんに声を掛けた。

「雪野の雰囲気を考えれば、いつもならこの感じで選ぶところだ。でも、今日は戦闘だから。もう少し攻めたい。いつもとは違う雰囲気を出したい」

創介さんの真剣な眼差しに、自然と私も気が引き締まる。

戦闘――。

確かに、煌びやかで気後れしてしまいそうな人たちばかりが集まる場に出て行くのだから、私にとっては戦場と言えるかもしれない。

「では、いっそのこと真逆のタイプのものを選んでみましょうか」

店員さんがそう言って新たに持って来てくれたドレスの中から、創介さんがすぐに一つを選び出した。

「――これ。これを着てみろ」
「え……? これ、ですか?」

それは、深紅と言おうかワインレッドと言えばいいのか、光沢の入った深い赤色のドレス。

胸元がVラインのシンプルなドレスだけれど、生地の光沢がゴージャスで、それだけで存在感がある。品があり大人なデザインだ。

まず言えることは、私の雰囲気とはかけ離れているということ。

「私では着こせない気が……」

まだ、今来ている薄桃色のドレスの方がなんとかなる気がするのに。

店員さんは何も言葉を挟まないけれど、それはつまり私の同じ意見だということだと思う。

「いいから、着てみろ」

それなのに、創介さんは譲らなかった。

「……じゃあ、着てみます」

衣装に着せられている感じになるに違いない――。

そんな姿を創介さんに見せなければならないと思うと恥ずかしかったけれど、無理矢理に恥ずかしさをかなぐり捨ててそのドレスに腕を通す。

「――どうです、か……?」

背中が開いたドレスがとても心許なくて。今まで来たことのないシックなドレスに、ただただ緊張する。試着室から、創介さんの前におずおずと出て行った。

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