雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
仰々しい鉄の格子が施された重厚なドアの両脇には、ガードマンが配置されている。決して、ふらりと店の中を覗いてみようなんてことができる雰囲気のお店じゃない。
創介さんは躊躇うことなくその扉へと近付いて行く。
「――このドレスに合うネックレスとイヤリングが欲しい」
ガラスケースを前にして創介さんがなんてことないように言い放つ。
「彼女に似合う、品の良いものを」
「かしこまりました。お任せください」
そうして出て来たものは、ダイヤモンドがぐるりと連なったネックレスと、耳元からダイヤモンドの粒が並んで揺れるイヤリングだ。そのあまりの輝きに眩暈がしそうになった。
「いいな」
創介さんが、満足そうにそれを見つめる。
いや、待って。
こんなにもたくさんのダイヤモンドが使われていて、一体いくらするっていうの――!
「雪野、試しにしてみろ」
「へっ……?」
間抜けな声を出してしまった私の首には、あっという間にネックレスがかけられ、創介さんの手がイヤリングを私の耳たぶにつける。
「お召しになっているドレスにも大変お似合いです。それに、奥様の清楚な雰囲気にもぴったりですね」
「ああ。とても、よく似合うよ」
創介さんが、眩しそうに私を見つめた。これだけ煌びやかなものを身にまとえば眩しくもなるに違いない。
「でも、創介さん。これ、とんでもなく高価なものなんじゃ――」
そのネックレスが展示されていた場所には、他の商品と違って値札がついていない。というか、店内の中でもこのエリア自体が他の場所と少し雰囲気が違う気もする。
ここにあるものって、いわゆる”ハイクラスジュエリー”というものではないだろうか――?
声を潜める私に、創介さんが顔を近付けて囁く。
「少し早いけど、クリスマスプレゼントだ。お守りだと思え。今日のおまえをこいつも守ってくれる」
そう言って、首を守るように囲むネックレスにそっと触れた。