雪降る夜はあなたに会いたい 【下】


 首回りと耳とに、恐ろしく緊張感を感じながら、パーティーが行われるホテルのエントランスに到着した。
 ハイヤーから先に創介さんが降りて、私の手を引いてくれた。

「ありがとうございます」

創介さんの手を握りしめて、外へと出る。もう既に辺りは暗くなっていた。

「なんとか、間に合ったな」

握った手をそのまま創介さんの腕へと導かれて、しっかりと腕を組む形となる。

 こうしてすぐ隣には創介さんがいてくれる。それでもやはり、会場が近付くにつれて私の心臓の鼓動が激しくなった。

 フラッシュバックのように、講演会の日の出来事が蘇る。あの時あの場にいた人たちの中に、このパーティーにも来ている人がいるだろう。

 ホテルのエントランスをくぐりロビーに足を踏み入れると、たくさんの人が行き交っていた。その中には明らかに正装をした男女がいて、同じパーティーに出席するのだと分かる。自然と顔が下を向いて行く。

創介さんもいるのに、またみっともない姿を見せてしまったら。

創介さんの前で、恥をかかせるようなことになったら――。

ユリさんの言っていたことが、次々に思い出される。

『みんながあなたを見てる。その目がどんなものか、言わなくても分かるよね』

惨めで恥ずかしい自分が鮮明に思い起こされて、急に足元が震えて。ピンヒールのつま先が前へと進まなくなった。

「あ、あの、創介さんっ」

思わず呼びかけてしまった時には、もうパーティー会場であるバンケットルームがあるフロアまで来てしまっていた。

「私――」

一体何を言えるだろうか。
ここまで来て、引き返そうなんて、そんなことが正しい答えなのだろうか。

創介さんに『強くなりたい』と言った。そんな私に、創介さんがこうやって力をくれた。

私が戦えるように背中を押してくれて――。

そんな創介さんの想いも踏みにじることになる。

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