雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「先日、幹部婦人の集まりに行かれたんでしょう? 最近は、あまり顔を出していなくて」
その言葉に、私の笑顔が固まってしまいそうになる。
奥様は、あの日のことを聞いているのだろうか。栗林専務の奥様や竹中常務の奥様と、同じ考えでいらっしゃるのか。
この場で、どんな言葉が向けられるのか――。
不安が身体を突き抜ける。
「今、取り仕切ってくださっているのは栗林さんよね。私は今は参加するだけの身になって、毎回参加しているわけでもないの。すべて栗林さんにお任せしているけれど、皆さんにちゃんと紹介してもらえたかしら? あの会に初めて出席する時って、おそろしく緊張するでしょう? 今でも覚えているわ」
奥様の言葉になんと言ったら分からない。
あの日のやり取りが早送りの映像みたいに私の頭の中を駆け巡り、何かを答えなければならないのに、上手く答えるべき言葉がまとまらない。
「――それが。どうやら、その会で何かあったようで。妻が酷く落ち込んでいるので、私も気になっているんです」
え――?
「あら、そうなの? どうなさったの?」
奥様が私に視線を向ける。
創介さんがそんなことを言い出したのに驚いて、思わず顔を見上げた。
――俺に話を合わせろ。
とでも言うように、創介さんが私を見つめて微かに頷く。そして、奥様に言葉を続けた。