雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「妻が何か失礼なことをしてしまったようで。私がいくら聞いても、ただ『自分の落ち度だ』と謝るばかりなんです。私としても心配ですからね。どなたか事情を聞けるといいのですが――」
創介さん、一体、何を考えているの――?
創介さんが何をしようとしているのか分からなくて不安ばかりが襲ってくる。
創介さんの大きな手のひらが私を支えるように腰に添えられていた。
「初めての場で何かあったのなら、創介君も心配だろう」
副社長までもが神妙な表情になる。
「おっしゃる通りで。一言、私の方からも栗林専務の奥様にお詫びをしようかと思っているのですが――ああ、ちょうどいらしたみたいだ」
創介さんが、入り口の方に視線を向けた。
創介さんの、どこか決められたセリフを言っているかのような芝居じみた言い方に、何かが引っかかる。でも、それ以上にこのあとに起こることが予想できなくて、不安で仕方がない。
栗林専務の奥様に会うのは、あの講演会の日以来。勝手に身体が強張る。
「ちょうどいいわ、この場でお話なさるといいわよ。もしかしたら、何か些細な行き違いかもしれないし。お付き合いはこれからも続いて行くんだもの、こういうことは最初のうちに解決しておいた方がすっきりするわ。栗林さん!」
奥様が手を挙げて声を掛けてしまわれた。おそるそおる向けた視線の先に、栗林専務と奥様の姿があった。