雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「……はぁっ」
大きく息を吐いたと思ったら、創介さんが力の限りで私を抱きしめた。
「分かってる。こんな場所でこれ以上のことをしたりしないから。ちゃんと、お楽しみは取っておかないとな」
「え……っ?」
私の肩に顔を埋めて、創介さんがもう一度息を吐いた。
「たまらなく綺麗で色っぽい雪野をめちゃくちゃに苛めるのを想像して、あと一仕事頑張るか」
「な、なんですか、それっ!」
慌てふためく私を無視して、創介さんが立ち上がる。
「これから、お偉いさんたちに愛想を振りまいて来るとしよう。そのご褒美が雪野だよ」
「創介さん!」
創介さんが私に手のひらを差し出した。
「さあ、奥様。パーティーに向かおうか」
創介さんの手のひらに私の手を預けると、すぐさま引き上げられた。思っていたよりもその勢いがあり、創介さんの胸に飛び込む形になる。
「ご、ごめんなさい……っ」
慌てて離れようとすると、私の腰を創介さんが抱き寄せた。
「――雪野にも、今日一日頑張ったご褒美が必要だよな? 何がいい?」
私の腰を掴んだままで、額を合わせる。
そんな体勢でそんなことを囁かれれば、私があたふたとすると分かっていて……。
こういう時の創介さんは本当に意地悪だ。
「ネックレスもイヤリングも、ご褒美ならもう充分もらってます……っ」
創介さんの唇が耳元に近付いて来るのが分かる。触れそうな瞬間が来るのを身構える。
「……それは、ご褒美じゃなくてクリスマスプレゼントだ。ご褒美は――」
イアリングのある場所を避けるように創介さんの唇が私の耳に触れて、吐息がかかる。
「何が、いいんだ。ほら、言えよ……?」
低くて甘い声。いつも以上に甘く響く。鼓動が激しくなって、私をこんなにもドキドキとさせる創介さんが少し恨めしい。
恨めしくて、悔しくて、そして、好きでたまらなくて――。
底なしに想いが溢れるから、思い切って口にした。
「――創介さん」
「え?」
頑なに額を創介さんの胸に押し付けながら、半分やけっぱちになって言った。言ってしまった。
「ご褒美は、創介さんがいい」
ドクドクドク――。
ただ自分の鼓動だけが聞こえる。