雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「あぁ……っ、ったく、おまえは――」
呻くようにそう言ったかと思うと、次の瞬間には唇が塞がれていた。
「……!!」
こんな、いつ、誰が来るか分からない所で――。
あまりの驚きに、私は目を見開いたままでいた。
「――そんな驚いたような顔しやがって。今夜、覚えておけよ」
怒ったような表情をしながら、どことなく創介さんの顔が赤い気がして。
少しは、創介さんをドキドキさせられた――?
「ほら、行くぞ。これ以上二人きりでいたら、もう自分を抑えられる気がしない」
「は、はいっ」
私の腕を掴んで、創介さんが長い脚を繰り出してずんずんと進んでいく。
その広い背中を見つめながら、必死になって着いて行く。
やっぱり、私は、この人の背中が好きだ――。
そんなことをふと思ったりした。
会場の入り口あたりに来たところで、創介さんが立ち止まった。
「悪い、電話だ。ちょっと、待っていてくれ」
「はい」
創介さんがスマホを耳に当てながら私に告げると、入り口から離れたところへと向かいながら電話をし始めた。
バンケットルームの出入り口付近にある受付から、少し離れたところの壁際に立ち創介さんを待つ。その時だった。
「――あなた、戸川雪野さん?」
「は、はい……」
旧姓で呼ばれたから、一瞬戸惑う。俯いていた顔を上げると、見覚えのない女性がニ人、私の前に立っていた。