雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「疲れただろう? 突然連れて来たのに、よく頑張った」
パーティーが終わり会場から離れると、創介さんが思いっきり優しい眼差しで私の髪に触れた。
確かに、顔の筋肉は痛いし、足も痛い。そして無意識のうちに力を入れていたのか、肩もこっている気がする。
でも、そんな顔でそんなこと言われたら、疲れなんて一気に吹っ飛んでしまう。
「創介さんも、お疲れ様でした」
創介さんに向き直り頭を下げる。
「ああ。俺も我ながら頑張った。というわけで、」
大きな手のひらが、私の手の指に入り込んで来た。
「ご褒美をもらうとしよう。雪野にもご褒美をやろう」
「そ、創介さんっ」
まだ、完全に会場のあったホテルから出た訳ではないのに。創介さんが唇を私の耳元に寄せる。
「お互いがお互いのご褒美だなんて、なんだか――」
周囲が気になって落ち着かない私を、更に追いつめるようなことをする。
「――いやらしいな」
「なっ、何を……!」
私の耳たぶに創介さんの唇が本当に触れた。
「会場を出たら、もう俺の頭の中は雪野のことしかないから。おまえもだろ?」
「……」
何も言葉に出来ず、その代わりに思いっきり創介さんから顔を逸らした。
「こんなところでこんな会話をしている場合じゃねーな。雪野が恥ずかしがらなくて済む場所に一刻も早く行こう」
すぐに腕を取られて。あっという間に、このホテルの最上階の部屋に連れて来られていた。