雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「……木村だ。俺にも分からせたかったんだと」
「何、を?」
「雪野は、知らない女に囲まれて辛い気持ちになったはずなのに、俺を信じると言った。雪野一人が耐えるのは間違っているし、そんなことを俺も望んでいないだろうって。俺も知るべきだと、木村が俺に伝えて来た」
「木村さんが……」
それでさっき、創介さんはあんなこと――。
私のために。私の胸のもやもやを少しでも取り除こうとしてくれたのだろうか。
「雪野」
「……ん?」
創介さんの真剣で、そしてどこか不安そうな目が私を見つめる。
「おまえも、もっと怒ってもいいんだ。俺を、責めてもいいんだぞ?」
「責める……?」
「ああ。それでおまえの気持ちが楽になるのかどうかは分からない。でも、俺はいくらでも雪野に伝えるから。何度も何度も、俺の気持ちを伝える」
創介さんの困った表情に少しだけ胸が痛む。
「分かっているから。創介さんの気持ちは、ちゃんと分かっています」
だから、創介さんに微笑みかけた。
「もう、気にしないで。創介さんと過ごした時間全部が、私に伝えてくれているから」
「雪野……」
創介さんが、ふっと息を吐いた。
「これじゃあ、俺も、木村に怒られるわけだな」
「え?」
苦笑して、言葉を続ける。
「さっき、おまえと木村が二人でいるのを見て嫉妬しただろう? 雪野は俺を信じてくれているのに、おまえは一体なんだって。俺に分からせたくて、わざとあんな風に俺を挑発したのかもしれない。木村にやられたな……」
創介さんが私を抱き寄せ、肩に顔を埋めた。
「木村さんは、創介さんの一番の理解者なのかも。木村さんって、ああ見えて本当はとっても真面目な人ですよね」
創介さんの頭をそっと撫でる。
落ち込んでいる創介さんが、少し可愛いと思ってしまった。