雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「そう改まって聞かれると、どう答えればいいのかなかなか難しい。とにかく、彼女のことが気になって仕方がなかった。ということで勘弁してくれるかな」
常務。もういいんです。こんな女の、もはや個人的興味に付き合う必要はない!
「とにかく気になって仕方がない――まさに運命ですよね! 一目惚れで始まった恋なのに、それからずっとお付き合いが続いて結婚に至る――。それって、すごくすごく一途な恋じゃないですか? あー、私たち女子社員の妄想のはるか上を行くロマンチックぶり! あまりの感動に、ときめきまくりです」
「おい。一つの質問にこんなに時間かけていたら、予定の質問を消化しきれないだろ! 少し黙ってろ」
俺が止まらないその口を制する。
「でも、『奥様とは大恋愛だと風の噂で聞いていますが、本当ですか? どんな奥様ですか?』という質問も来ていますから!」
か、勝手に、質問を付け足すな――!
「大恋愛……どうしてそんなことを、うちの社員は知っているんだ?」
常務が激しく混乱している。無理もない。誰だってそうなる。
「――そうおっしゃるということは、それは正しい情報なのですね? 大恋愛なのですね! もう、その響きだけで私、ごはん三杯はいけます。どんな大恋愛だったんですか?」
「どんな、と言われても、とにかく結婚できるその日まで、意思を貫き通した……ということで許してくれ」
「強い意思、それって――」
「よく、わかりました。お答えいただきありがとうございます!」
それでも食い下がろうとする三井の声に思い切り被せた。さすがに、少し不満そうにしながらも三井が一歩下がる。