雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「あのあのあの、もし、常務が奥様のお仕事の上司だったら、どうなっちゃうと思いますか?」
さらに私も質問を続ける。
今なら、絶対に答えてもらえる気がする!
「えぇっ! 創介さんが、私の上司――」
驚きながらも、奥様は考え込む。
酔っているからこそ、真剣に考えてくれている――!
「雪野、そんなことまともに考えなくていい――」
広岡対策で忙しいはずの常務が、すかさず奥様にも気を配る。
「創介さんが上司だったら、いくつ心臓があっても足りないです」
「それって、どういう意味ですか~!」
常務以外、大盛り上がりである。
「一緒に暮らしているだけで、ドキドキなんです。職場にまでいたら、もう、いくつ心臓があってももたないかも……」
そう言って手のひらで頬を押さえていた。
「ドキドキするんですね? 結婚しても、ドキドキしちゃうんですねーっ!」
垣間見たい。新婚生活、垣間見たい。いや、でも、あまりに甘すぎたら。甘いを通り過ぎて、激しすぎたら――きゃっ。
「おい、なんでおまえが顔赤くしてんだよ」
常務に怒られていた広岡君が八つ当たりのように私に言う。
「いやいや。ちょっと、いろいろ妄想しちゃって。ウフフ」
「絶対に榊常務は肉食系だと思われます。今時の、草食系だなんて言ってそれがかっこいいと勘違いしているもやし男子たちに見習わせたい。男なら、覚悟決めて向かって来なさいと言いたい」
神原さんが、そう言って溜息を吐く。
そんな神原さんを見て、常務が溜息を吐く。