雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
そして、迎えた一週間後の土曜日の朝――。
「出かけましょうか!」
休日出勤からも解放された。この日から、一泊二日の日程で出掛けるらしい。
「そろそろ、どこに行くか教えてくれてもいいんじゃないか?」
一泊分の荷物を持って、二人で玄関を出る。
「そんなに遠い場所ではないですし、すぐにバレてしまうとは思うんですけど……」
エレベーターに乗り込むと、ぼそぼそと雪野が口を開いた。
「でも、やっぱり。ギリギリまで、創介さんに楽しみにしていてほしいんです!」
そう言って俺を見上げる。
驚かせたくてワクワクしているどこか子供のような雪野の笑顔に、正常な精神は崩壊し、胸は打ち抜かれる。
そして、この表情はきっと気持ち悪いくらいに緩んでいるだろう。
「……分かったよ。楽しみにしてる」
どうして雪野は、こんなに可愛いんだ――?
「創介さんは、安心して助手席に座っていてね。ちゃんと練習したから、多分、大丈夫」
ニコニコとしている雪野を見ていると、もう他のことはどうでもよくなって来てしまうから困る。
「優太君には随分迷惑を掛けたんじゃないか?」
「うん。かなりお世話になった」
少し身長差のある雪野を見下ろせば、その存在自体が愛くるしさで一杯になる。
この年になって、誕生日など特段意識する日でもない。はっきり言えば、誕生日なんてどうでもいい。
そんなことより、今日から二日間、どうやって雪野を可愛がってやろうかと、もうそれしか頭にない。