雪降る夜はあなたに会いたい 【下】

 そうして、ようやく目的に到着した時には、ただ座っていただけなのにくたくただった。

「無事に着きました! 練習の甲斐がありました!」
「……ああ、そうだな」

何故か、運転中より元気になっていて、どこか満足そうな雪野に苦笑する。

 車から降りると、そこにはログハウス風の宿があった。山中湖畔にあり、富士山もすぐ近くに見える。

「雪野は富士山が見たかったのか?」
「創介さんと一緒に見たかったの。それと、バーベキューをしたかったんです。楽しいでしょう?」
「なるほど。だから、ここなんだな」

車から降りて、雪野と絶景の富士を前に並んで立った。

 湖畔にあるログハウスの前には、バーベキューが出来る設備が整っている。湖と富士山を見ながら肉を食べられるというわけだ。

 他のログハウスとも程よい距離が取られていて、プライベートも守られている。とてもいいところだった。

「雪野が自分で探したのか?」
「はい。創介さんと二人で楽しみたくて。気に入ってくれましたか?」

これからバーベキューの準備をしなければならないというのに、俺を見上げる雪野の笑顔にかぶりつきたくなる。

「――もちろんだ」

でも、”ここは”夫として正解の行動を取る。
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