雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「雪野は十分頑張ってるさ。雪野の英語は綺麗な発音だし、ただの立ち姿も、自然と美しいものになっている」
「それは言い過ぎですよ。まだまだです。でも、すぐには変えられなくても、長期計画で頑張っていますから」
言い過ぎなんかではない。
元々努力家で、大学での成績も良かった。大学に遊びに行っていたような気楽な学生とは訳が違う。十分な教養は身につけている。
花道に茶道や必要なマナー。
『時代が変わっても、身に付けていて損はない。必ず自分を助けてくれる』と言って、楽しんで取り組んでいる。そこから、本人の努力で、日々さまざまなことを吸収しているのだから変わらないはずがない。
「創介さんが社長になる頃には、立派な奥さんになれているといいけど」
それでいて、変わらない恥じらうような笑み。
やっぱり、無理だったようだ。
「そ、創介さん?!」
その身体を勢いよくこの腕の中に閉じ込める。
「急に、どうしたの?」
「ん? それは、俺の奥さんがいい女過ぎて、たまらなくなったから」
「ちょ、ちょっ――」
あたふたとする雪野に構わず背中をきつく抱き寄せ唇を重ねる。先ほどのただ重ねるだけのものとは違う深いキス。強引に唇を割り、滑らかな舌を捕らえる。
「ごめん、雪野。やはり、夜まで待てない……」
「そ、そうすけ、さ――んっ」
一度離した唇をすぐに塞ぐ。
背中と、頭と。この腕で囲ったまま近くの木へとその背中を預けさせた。
「……ん、はぁっ」
何度も角度を変えては、深く絡めて吸いつく。息が上がり始めた雪野から力が抜けていく。
「……恥ずかしい、から」
「いや、か?」
そう尋ねながらも、この手は動くのを止めない。
「いや、じゃない。ただ、ここは――」
「部屋なら、いい?」
首筋から鎖骨へと手のひらを滑らせ、耳たぶに舌を這わせて囁く。雪野が息を乱しながら、コクンと頷く。それを見たと同時に、雪野の身体を抱き上げた。